こんにちは。NALです。
今回は、メルカリの売上金の失効について解説いたします。
メルカリでは一定の期間を経過した売上金は自動的に振り込まれる仕様になっていますが、振込み先の口座を登録していなかった場合、売上金が失効してしまいます。
しかし、その失効した売上金はユーザーのものであるため、ネット上では「失効は違法ではないのか?」という声が上がっています。
今回は、売上金の失効が違法なのかという点や相談先について解説いたします。
メルカリが売上金を失効させる根拠は?
メルカリがユーザーの売上金を失効させる措置ですが、その根拠となっているのが以下の規約だと思われます。
4.引出申請期限を経過しても、なお引出申請が行われない場合、弊社は、速やかに、売上金の全額から第 1 項に定める手数料を控除した金額を、加盟店がメルペイアカウントに登録した金融機関の口座に振り込む方法により支払います。
なお、本項に基づき、弊社が振込手続を行ったにもかかわらず、加盟店の責めに帰すべき事由により振込みが正常に完了しない場合には、弊社は、当該加盟店が、当該売上金の支払請求権を放棄したものとみなすことができるものとします。
※「https://static.jp.mercari.com/seller_terms」より引用
上記の通り、メルカリの規約では振込み手続きが正常に完了しなかった場合、当該加盟店(出品者)が売上金の支払い請求権を放棄したものとみなすと規定されているのです。
これを根拠として、メルカリでは売上金を失効させる措置を講じていると思われます。
確かに、この規約では出品者の支払い請求権を放棄したものとみなす旨の記載がありますが、いくら規約に記載されているとはいえ、消費者に一方的な不利な契約は無効になる場合があります。
売上金の失効は違法の可能性が高い
売上金の支払い請求権を放棄するという規約は消費者が一方的に不利であるため、これは違法である可能性が高いと思われます。
その根拠となる法律(民法)が「消費者契約法 第10条」です。
同法 第10条では消費者の契約について以下のように規定されています。
消費者契約法第10条
(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項その他の法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。
※「https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=412AC0000000061#62」より引用
第10条では「消費者の利益を一方的に害する条項の無効」について規定されており、メルカリが売上金を失効させる行為が「消費者の利益を一方的に害する」という部分に抵触すると考えられます。
この一点が存在する以上、メルカリが売上金を失効させる行為は違法である可能性が非常に高いことから、メルカリは失効した売上金を返還する義務があり、また、消費者も売上金を受け取る権利があると言えます。
ただ、消費者契約法は「B to C」の契約のみに適用される法律であるため、出品者が個人ではなく事業者だった場合は同法は適用されない点に注意が必要です。
消費者契約法で保護されない事業者はどうなる?
消費者契約法は消費者(個人)を保護する法律であるため、事業者の場合は適用されません。
しかし、いくら事業者といえど、自分の売上金を一方的に失効されてもいいという道理はありません。
実は、民法には「不当利得の返還」という項目があり、以下のように規定されています。
(不当利得の返還義務)
第七百三条 法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。
※「https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089#2557」より引用
上記の通り、不当利得を得た者はそれを返還する義務を負っているのです。
メルカリは出品者の売上金を一時的に代理で預かっているという立場であり、当然のことながら、その売上金はメルカリのものではありません。
そのため、他人の財産である売上金を一方的に失効させる行為は他者に損失を与える行為であるため、メルカリはこれを返還する義務があるというわけです。
先述した通り、消費者契約法は消費者(個人)は保護するための法律であって、事業者には適用されません。
しかし、民法では不当利得を返還する義務が規定されていることから、これを根拠にして、メルカリは事業者に対しても失効させた売上金を返還しなければいけないと考えられるというわけです。
相談先はどこ?
売上金の失効は違法である可能性が高いですが、メルカリの規約では売上金の失効に関する文言が記載され続けています。
そのため、一度失効した売上金を諦める方も少なくないようです。
ただ、運営に問い合わせたところ、売上金を復活(返金)してもらえたという事例が報告されているため、まずはメルカリに連絡してみることをお勧めします。
しかし、この救済措置はメルカリの規約には一切記載されていないため、あくまでも個別対応事案であり、全てのケースにおいて売上金が復活するとは限りません。
もし売上金を復活させてもらえなかった場合は「特定適格消費者団体」に相談してみるといいでしょう。
特定適格消費者団体とは、消費者の利益を保護するために被害回復の裁判手続きを行える団体のことです。
契約上のトラブルで最初に連想する団体としては「国民生活センター」や「消費生活センター」などが挙げられるかもしれません。
勿論、こうした組織に連絡することも決して無駄ではありませんが、これらの組織は情報収集や情報提供が主な目的であるため、個別の紛争事案に積極的に介入して解決してくれる団体ではないのです。
また、消費者庁においても、現行の消費者契約法では第10条違反を理由として行政指導をする権限はありません。
こうした実情から、消費者庁に相談しても、本件で動いてくれる可能性は限りなくゼロに近いと言わざるを得ないため、売上金の失効について相談するのは特定適格消費者団体が最も適切だと思われます。
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